韓国 光州はなぜ“民主化の聖地”なのか?
1980年5月の光州[クァンジュ]を舞台に、
抑圧される青春の混乱を描いた
イ・ドヒョンとコ・ミンシのラブストーリー
KBS演技大賞で5冠獲得した人気作
出典 KBS公式ポスター
演出 ソン・ミニョプ 「ドクタープリズナー」,「スカウティングレポート(イドヒョン出演.全1話)」,
脚本 イ・ガン 「遥か遠い踊り」,「貧乏な私の家探しプロジェクト(」,「克服の社交ダンス」←(全部1話だけの短編)
五月の青春 (全12話)
★★★★★★☆ 星6つ
韓国放送 2021年5月~6月 KBS
韓国語表記 오월의 청춘
英語表記 Youth of May
視聴方法 衛星劇場、楽天Viki
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近代史実あり、ネタバレはなし
あらすじ
1980年、ソウル大学医学部留年ファン・ヒテ(イ・ドヒョン)が、光州[クァンジュ]の実家へ帰宅する。
彼の父親は、ヒテと昌和[チャンファ]実業の娘イ・スリョン(クム・セロク)の結婚をもくろむが。女子大生のスリョンは、民主化運動に熱心でお見合いなんて行きたくない。
そこで、親友の看護師キム・ミョンヒ(コ・ミンシ)に代役をたのむ。
ヒテは以前見かけて気になっていた女性ミョンヒがお見合いに現れて喜ぶが、実はニセモノ。それがだんだん取り返しのつかない事態へと発展していく。
(2022.そら豆)
感想
「五月の青春」は
とてもいいドラマです!
残酷な時代、しずかに恋をはぐくんだヒテとミョンヒの青春ロマンス。
1980年5月の光州[クァンジュ]が舞台なので、物語があの事件へ向いていくのは…察し。そら豆も身がまえていましたが前半、意外と笑えるところもある、あかるいラブストーリーでホッとしました。
ヒテとミョンヒとスリョン、ヒテとミョンヒとスチャン。
イ兄妹が主役2人にからむW三角関係。ヒテ(演 イ・ドヒョン)のわかりやすい嫉妬つきなのが嬉しい。彼の父親ファン・ギナム(オ・マンソク)は市民から嫌われる保安部の課長。ヒテは、ソウル大学生で実家はお金持ちなんですが。
「キャー!イドヒョンかっこいい♡」って萌えるやつではなく(まあかっこいいんだけど)。ロマンスをまじえながら医療従事者の目線で、激動の時代のながれを感じるドラマでした。主役2人のフィーリングが合っていて、お似合いでしたよ。
放送が、韓国の公共放送局であるKBS(日本ならNHKみたいなもん)。その割には、カゲキな映像もあり驚きます。真実とはちがいますが、これがスタッフの頑張りでギリギリ公開できる範囲だったんだと思います。
2021年5月に放送というのも意味があり。
罪のない無抵抗の一般市民虐殺や、光州の軍内部にいた同胞を撃つことをためらう人の心理描写など。制作に関わった方達の訴えたい思いにジーンときました。
ドラマ冒頭、2021年現代の光州で遺骨発見。その遺骨はいったいだれの?という疑問が全話にわたり。1980年はみんながいつ死んでも不思議ではなく。そこからグイグイ物語に引き込まれていきます。
この時代この地にいただけで・・・。
さすがに、そら豆も(めずらしく)泣きました!ドラマを視聴した人の流す涙が、亡くなった方々への追悼になるのだと思います。
自由な理念を胸に、民主化への門戸をひらいた学生たち。そのお陰で、今の韓国があるんですね。
光州へ目を向けるきっかけになったことからも、私にとって「D.P.」(兵役制度への理解)同様、深く意味のある、考えさせられるドラマでした。
光州事件とは?
「五月の青春」は7割ロマンスですが、
あとの3割は、ある事件がテーマ。
光州[クァンジュ]事件
1980年5月18日から27日にかけて大韓民国(韓国)の全羅南道の道庁所在地であった光州市を中心として起きた民衆の蜂起。
5·18光州民主化運動、光州民衆抗争
大学生からひろがった大規模な民主化をさけぶ決起で、20万人が参加。戒厳軍に制圧された歴史的な事件。真実は完全には解明されていません。
実際は、ヘリから市民への空撃まであり。戒厳軍による無差別大量虐殺だったと2018年2月に韓国政府が認めました。
光州の場所は?
地図からさがしてください。左下くらいでソウルから遠い~。
調べたらソウル→光州までは車で260㎞(東京→名古屋くらい)。
出典 ソウルナビ
光州事件の作品
ドラマ 「モレシゲ(砂時計)」、「第4共和国」「第5共和国」
映画 「華麗なる休日(光州5・18)」「星から来た男」「26年」「タクシー運転手」
あの映画は「タクシー運転手」
●韓国映画 「タクシー運転手」について
韓国映画「タクシー運転手」も、1980年5の月 天から砲弾がふってきた(ノストラダムス風)。ドラマ「五月の青春」 との共通点は光州事件!
同じ時代の同じ事件ですが、視点がちがう。
- 映画は、タクシー運転手と外国人記者目線
- ドラマは、ロマンス&医療従事者目線
ただ、両作品の共通点は、
韓国軍が罪のない市民に銃を向けることは絶対にないとみんなが信じていたこと。
信頼を裏切られた衝撃を表現する、社会派ドラマの要素が含まれています。
映画はコメディ調だし、
ドラマはロマンスだから
両方、没入感があり。視聴者はいつの間にか光州事件に意識がむく。もしこれが、真面目なドキュメンタリーだったら。私もこんなに「光州事件」へ興味がわかなかったです。
そら豆は映画「タクシー運転手」も観た
光州事件といえば!とドラマ視聴中に思い出し。そら豆もやっと韓国映画「タクシー運転手~約束は海を越えて」を観ました(アマプラ、ネトフリにあり)。
情報統制とたたかうドイツ人ジャーナリストに巻き込まれたタクシー運転手のはなし。これがまさかの実話というショック!
実在のジャーナリストとタクシー運転手
映画「タクシー運転手」の2人は実在する人物。
下記は、モデルになった2人、光州事件後の実話です。
- 1980年 5月 ドイツ記者とタクシー運転手が光州で事件目撃
- 1984年12月 タクシー運転手は肝臓ガンでこの世を去る
- 2003年12月 ドイツ記者「勇敢なタクシー運転手に会いたい」
- 2016年 1月 ドイツ記者もタクシー運転手と念願の再会ならず他界
- 2017年 8月 映画 「タクシー運転手」 韓国公開→大ヒット
- 2017年 9月 タクシー運転手の息子が気づいて、
「父キム・サボクは1984年にガンで亡くなりました」と発表
※参考文献 タクシー運転手 約束は海を越えて - Wikipedia(キャスト)
映画のモデル ドイツ人記者故ユルゲン・ヒンツペーターサン&タクシー運転手故キム・サボクサン
映画から抜けだしてきたような写真です。
Kコンテンツファンで未視聴の方は、ま・さ・かいないとは思いますが←(今ごろ観て感動している豆がいうな)。
鑑賞すれば「五月の青春」でタクシーを探せ!ってなるはず。←探したのね
厳つい顔ソン・ガンホの柔らかい演技に★7満点!映画では初の満点 (映画通でもない私は、正直「パラサイト」より観やすくておもしろかったわ~)
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以下、またドラマに戻ります
「五月の青春」OST
韓ドラにしては静かな曲が多く、特にこちらの曲が心に残りました。
動画に後半のネタバレなし
www.youtube.com [MV] Soyeon(소연) (LABOUM) _ Think Of You(당신 생각)
OSTのほとんどが優しく落ち着いたメロディ。
キャスト
※青が演じた役者で年齢はドラマ公開当時
主要キャスト
ファン・ヒテ ↓
ソウル大学医学部に首席合格した光州の有名人
しかし留年中・・・
出典 KBS 「五月の青春」人物紹介
- 父親 ファン・ギナム↗︎(オ・マンソク)・・・保安部捜査課長、ニクタラシイ
- 継母 ソン・ヘリョン↗︎(シム・イヨン)
- 弟 ファン・ジョンテ↗︎(チェ・スンフン)・・・カワイイ
イ・ドヒョン 年齢26歳、身長182㎝
どんな役でも、この人しかいないってくらいピタっとはまります。
出演作品 「ホテルデルーナ」,「Sweet Home -俺と世界の絶望-」,「18アゲイン」,「メランコリア」
キム・ミョンヒ(26歳)↓
ドイツ留学を希望する光州平和病院の看護師、芯の強い女性
出典 KBS 「五月の青春」人物紹介
- 父親 キム・ヒョンチョル↗︎(キム・ウォネ)・・・時計修理
- 母親 チェ・スンニョ↗︎(ファン・ヨンヒ)
- 弟 キム・ミョンス↗︎(チョ・イヒョン)・・・小学生で陸上部
コ・ミンシ 年齢26歳、身長160㎝
役に合っていて、方言のなまりある話し方がかわいかった。「Sweet Home」←(イドヒョンとは兄と妹)の時とは別人みたい。
出演作品 「空から降る一億の星」,「Sweet Home -俺と世界の絶望-」,「恋するアプリ」,「智異山」
イ・スチャン ↙︎
昌和[チャンファ]製薬社長、スリョンの兄
- 父親 イ・チャングン(オム・ヒョソプ)↘︎
イ・サンイ 年齢30歳、身長183㎝
こんなオッパが近くにいたらいい と思う優しい役が多い俳優
出演作品 「第3の魅力」,「ボイス2」,「チェックメイト」,「椿の花咲く頃」,「海街チャチャチャ」,
出典 KBS 「五月の青春」人物紹介
イ・スリョン↑
大学生法学部、昌和[チャンファ]実業の令嬢、キム・ミョンヒの親友
クム・セロク 年齢28歳、身長168㎝
小顔でかわいい、特技がバレエだけあってスタイルや姿勢もキレイ。
出演作品 「一緒に暮らしませんか?」,「熱血司祭」,「潜入弁護士」,
その他のキャスト
キム・ギョンス↙︎(クォン・ヨンチャン)・・・二等兵、ヒテの大学の友人
ホン・サンピョ↓(ノ・サンボ)・・・兵長、無慈悲
出典 KBS 「五月の青春」人物紹介
イ・ジナ↗︎(パク・セヒョン)・・・女子高生
イ・ギョンピル↗︎(ホ・ジョンド)・・・下宿屋経営者、ジナの父
チェ・ビョンギル(パク・チョルミン)・・・平和病院副院長
ユ・ビョンチョル(チャン・ウォンヒョク)・・・ 平和病院レジデント
チャン・ソクチョル・・・24歳、ファン・ヒテが世話する昏睡状態の女性
最後に
基本は、美男美女のロマンスだから感情移入しやすく。他のドラマより全員ナチュラルメイク。抑えた演技なのも、リアリティが増しました。
韓国が、こんな激動の時代から40年後には「愛の不時着」など高度なドラマ作品を制作する国に成長するとは、感慨ぶかい。
しかし、自国軍の銃口が市民にむいた記憶があるかぎり、いつまで経っても一抹の不安はぬぐえないと思います。
悲しい経験が、「五月の青春」や「ただ、愛する仲」などの良作を生み出したけど、犠牲などないほうがいい。
★6 最高におもしろかった。
全12話と短いのに視聴後の余韻がとにかくすごいです。「サイコだけど大丈夫」みたいに、何ヶ月も余韻がつづいたら、また★7(満点)に上げますのでヨロシク!(なにがヨロシクだ)
「タクシー運転手」→「五月の青春」の順番でご視聴されると、より楽しめると思います。
あと2話くらい延長して、もう少し深く描いてほしかった部分がありました。
それくらいハマったドラマ、そら豆おすすめします。是非、最後までご視聴ください。
参考文献
光州事件 - Wikipedia 五月の青春 - Wikipedia タクシー運転手 約束は海を越えて - Wikipedia
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